【開閉屋根】株式会社ブイ・テクノロジー YRPイノベーションセンター

斬新なアイデアから生まれた開閉屋根

株式会社ブイ・テクノロジーは、FPD事業、半導体事業において世界中で高いシェアを誇ってきた。そんな同社が、サステナビリティ(持続可能性)の観点から既存の事業分野に捉われない新たな挑戦へと踏み出すこととなり、その第一歩がかねてより注目していた農業事業への参入であった。特殊なフィルムによって土を使わずに高糖度・高栄養価の高付加価値トマトの栽培を可能にするアイメック®農法という新技術をもちいた先進的な農園を運営する。低層階に半導体製造装置を製造するクリーンルームを備える新設R&Dセンター社屋の構想・設計段階でこんな発想が生まれた。「土を用いない農法であれば、ビルの最上階を有効活用したトマトの栽培も可能ではないか?」

強風にも負けないトマト農園を

日光を遮る障害物もなく害虫の心配も軽減されるなどメリットも大きく斬新なアイデアであったが、高所ではビニールハウスが受ける風の力も大きく、ハウスが飛ばされてしまうことも危惧される。そこで採用されたのが、農園を覆うように設置された可動式の屋根だった。幅24m×長20mの可動部分が、4本のレールの上を走行しながら移動する。晴天時には屋根を開放しハウス内のトマトに太陽光を取り込み、荒天時や夜間には屋根を閉じることで屋内空間を創り出しハウスとトマトを保護。開閉屋根によりシチュエーションに応じて姿を変える空間づくりが、安心して運営ができる農園を支えている。

タイマー制御で栽培を省力化・効率化

平日の早朝や休業日等の就業時間外の時間帯にも屋根を開いてトマトの生育に必要な日照時間を確保したい、夜間の屋根の閉じ忘れを防ぎたい。そういった要望や悩みを解決すべく、本施設の開閉屋根にはタイマー制御による自動運転機能が備わっている。簡単な操作で毎日の開閉予定時間をフレキシブルに設定することで、操作員が不在の時間帯にも屋根の開閉が可能。自動運転中は遠隔監視カメラにより手元のデバイスで屋根の状況を確認しながら運用している。タイマー制御機能は建屋壁面のシャッターの開閉にも活用され、屋内へ爽やかな風を取り込むこともできる。トマトの効率的な育成を、開閉屋根がサポートしている。

施工概要

No. 167
用途 農業施設
商品種別 Culture&Eco.
開閉パターン 水平移動方式
駆動方法 チェーントラクション方式
建設地 神奈川県
竣工 2022年7月
所在地 下記参照