ピッチ全体を昇降する「Phovare(TM)」、ピッチの一部を分割して昇降する「Phovare Split」に続き、天然芝ピッチの上部で屋内球技フロアを昇降する「Phovare-2」を開発した。近年は芝種や土質、グローライトなどの人工栽培設備の開発の進化によって、必ずしも露天による太陽光の直達が必須ではなくなった。
また、天然芝は育成の都合(養生)により、ピッチエリアの利用日数が限られ施設の稼働率が低く、運用収益を高めることが困難であった。
一方で、都市部のスタジアムやアリーナは多様なイベント利用の遮音性能だけでなく、災害避難など屋内環境性能が求められる。天然芝を備えた屋根付き屋内スタジアムの施設稼働率を高めるために「ホバーレ2」が生まれた。通常は屋内競技フロアが配置され、競技種目や開催規模によって3,000~20,000席の屋内空間を実現する。
天然芝は屋内フロアの下で人工栽培によって育成され、天然芝を必要とするプロサッカー等で利用する時に、屋内フロアを上昇させ、20,000席の天然芝屋内グラウンドが出現する。
重たい天然芝ではなく軽量な屋内フロアの昇降により、昇降装置のコストを大幅に削減が図れる。
当社が保有する技術で、昇降する屋内競技フロアの他、大開口となる大型扉や可動スタンドを可動することにより、開放感や場面転換を容易に得ることを実現する。
ピッチ全体を昇降する「Phovare(TM)」を進化させ、ピッチの一部を分割して昇降する「Phovare Split」を開発した。
ピッチ全体を上昇して得られる大空間に3~5万人を集客するイベントは立地条件や昨今の諸事情から開催数が限られるのが実情である。主催者や施設利用者の利便性を向上する “適切な規模” の施設を要望する声に応えて「ホバーレ スプリット」が生まれた。
最も使い勝手が良い5,000~10,000席の屋内空間を実現しながら、天然芝ピッチを維持する多機能複合型施設の極みがPhovare Split だ。
また、中規模のアリーナの稼働率を更に向上する仕組みとして即座に用途転換が行える「格納式マルチフロア」をオプションとして提案する。用途転換はバスケットやバレーボールなどの木床、クレーや人工芝のテニスコート、そしてコンサート用のコンクリート土間など多用途に対応する。
オンサイトとオンラインの混在・共催を可能とし、集客施設の適切なサイジングに答える。
・昇降装置はPhovareで開発した機構を採用する。ピッチを分割することでフレームが軽量になり、昇降装置の小型化とコスト縮減が可能となった。
・サッカーとラグビーで使用する天然芝ピッチと、屋内イベントのアリーナを最適な大きさで共存するのがPhovare Splitの特徴。
・必要にして十分なエリア計画が可能となり、立地条件や多様な用途の設計自由度が飛躍的に向上した。
Phovare Splitの機能を最大限に引き出すために、様々な可動機構を備える付帯設備を用意した。
① 昇降用可動アーチ梁
昇降に必要な駆動装置を格納した可動アーチ梁は、通常は日射を遮らないよう北側に格納され、分割したピッチを昇降する時だけ南側に移動する仕組み。
② 大型可動スタンド
南側に配置された大型可動スタンドは上昇させたピッチフレームを支える壁となり構造安定化に寄与しつつ、アリーナの外壁としての役割を担う。
③ 採光用可動屋根
東西のスタンド屋根は天然芝に影を落とし育成の妨げとならないよう、育成期間はお辞儀した状態となり採光時間の延長に寄与する。
④ 小型可動スタンド
室内アリーナの西側のスタンドを前進させることで屋内コートに接近し、臨場感あふれる観戦を楽しめる。
⑤ 昇降・格納式マルチフロア
多様な屋内スポーツで使用する多品目なコートを分断して格納し、イベントに合わせて必要な床をスライドし、上下させるオプションを用意。
近年、スポーツビジネスは益々の盛り上がりを見せ、その経済効果は15兆円規模と言われている。しかし、国内のスポーツ施設の現状は中途半端な施設が多く稼働率の低い施設が多い。その為、施設の稼働率や集客数の増加の向上を図るために様々な取り組みや検討がなされている。具体的には、スタジアムの改修計画及びサッカー利用以外を想定した施設稼働率が高い多機能複合型スタジアムが要望されている実態がある。
そこで、横河システム建築では多機能複合型スタジアムとして利用可能な競技場天然芝ピッチ昇降システムを開発した。
・昇降機構は、ワイヤとサッカー用天然芝ピッチに内蔵したフックとをつなげ、上空に持ち上げる。
・ピッチ本体を屋根として上部へ可動させることで屋根として利用し、屋根利用時には芝の育成が出来る。一方、屋根利用時には、屋内型施設としてイベントが開催できるという画期的なシステム。
・ピッチ上架時には二重の免振機能を持たせ、下部フレームの大幅な軽量化が可能。
・ピッチ上昇後のピットの深さも2メートル程度と浅く出来るため、スタジアム本体を含め全体のコストダウンにもつながる。
・既存のサッカースタジアム等に低コストで後付けの導入が可能。これまでピッチの昇降装置は150~200億円程度のコストを要するとされていたものに対して、開発した本システムを採用することでおおよそ1/3~1/4にコストを削減が可能となる。
サッカー利用 (30,000 席)
メインスタンド 4,000 席 (1階)
5,000 席 (2階)
5,000 席 (3階)
サイドスタンド 3,500 席 ×2
ピッチ上昇状態
コンクリート床 (約 8,000㎡)
Bリーグコート配置
Bリーグ利用①(3,000席)
Bリーグ利用②(4,500席)
Bリーグ利用②(8,000席)
アイスアリーナ利用①8,000
アイスアリーナ利用②5,000
コンサート利用
(アリーナ20,000人+30,000席)
アイスアリーナ利用③4,000
コンサート利用
(アリーナ20,000人+30,000席)
ピッチ外周部には、ショッピングモールやホテル、屋上駐車場などを配置
サッカーモード内観
アリーナモード内観
サッカーモード
(ピッチ下降状態)
アリーナモード
(ピッチ上昇状態)
市庁舎や病院を隣接しても十分な日照が得られる
サッカーモード内観
アリーナモード内観
スタンド増設
既存躯体の改修がほぼ無しで増設が可能
Jリーグ規定のスタンド屋根も増設可能