最高の場所
富士河口湖町の人が、世界に誇れる音楽祭にする。
辻井さんが世界中で知り合った一流のアーティストさんに集まってもらうのだ。
それに、世界で活躍するアーティストは、富士山というロケーションで演奏したい。
喜んで引き受けてくれるはず。
中島は河口湖町の価値をはじめから見抜いていた。
強き発言もうなずける。
ピアノフェスティバルは、1年目、2年目とコロナの影響を大きく受けた。
海外からアーティストを呼ぶことは叶わなかった。
3年目になり海外からファジル・サイをゲストとして招き、当初の理想形の一つが実現できたのだ。
ピアノフェスティバルのコンセプトが、ジャンルに関係ないということ。
ピアノ・イン・レジデンスの辻井と相談しながら、クラシック・ジャズなどジャンルに関係なく、
素晴らしいアーティストに集まってもらう。
これが中島が考え、紡ぎだした答えだ。
中島が絶賛するのはロケーションとステラシアター。
ステラシアターは可動屋根で、閉めた時の音響、開けた時のオープンエアーな感じ、その両方楽しめる。
音楽祭のやる演目によって、空間を変えることが可能なのだ。
また、ピアノフェスティバルは9月に開催される。
台風が来るかもしれない、秋雨前線が覆う可能性も十分に考えられる。
ここに屋根があるということは、音楽祭をやる前提になっているのだ。
河口湖町で音楽教室を開催して、中島はすぐに感じたことがあると言う。
最初から、子供たちは打ち解けやすく、我々を迎えてくれたのだ。
先生も偉そうに子供に接したりしない。
だから、子供たちは自由奔放で、中島の想像以上のリアクションを見せてくれる。
お客様を楽しませる空気感は、観光の町ならではなのかもしれない。
この自由な空気感は、音楽を作る側にとっては重要である。
ロケーション、ステラシアター、町民も含めて最高の場所である。
年に1度、富士河口湖町でピアノフェスティバルが開催される。
その時、「再会」したような感じがあると言う。
中島とっては家族のような存在であるようだ。